実績にも書きましたが、新規賃料と継続賃料は扱いが異なります。
まず、賃料には土地を借りて発生する「地代」と
建物を借りて払う「家賃」とがあります。

建物は土地の上に建っているので、家賃の場合でも実際は
土地も借りていることになります。
この投稿では「地代」と「家賃」を含めて、賃料と表現しますね。
何が違う?
新規賃料: 今、新しく借りるならいくら?(市場の相場)
継続賃料: ずっと借りている人が、これからいくら払うべき?

実は『新しく借りる時の賃料』と
『借り続ける時の賃料』は、全く別の計算式で導き出されます。
町の不動産屋さんでも『相場が上がったから、家賃も相場通りに上げられる』と
思い込んでいる方がいるようですが、実はそうはいきません。
私たち鑑定士は、
- 最後に家賃が決まった時から、物価はどう変わったか?
- 大家さんと借りている方の間で、どんな経緯があったか?
- 近隣の『更新』の現場では、実際にいくらで合意されているか?
こうした多角的な視点(スライド法や差額配分法など)を駆使して、
双方にとって『公平な着地点』を探ります。
不動産は、単なる『モノ』ではなく、積み重なった『時間と権利』の塊。
プロでも見落としがちなこの複雑な糸を解きほぐすことこそ、
依頼者の皆さまを守る私の大切な役割です。
こんなケースも
実は先月、私たち不動産鑑定士を統括する「日本不動産鑑定士協会連合会」(以下、「連合会」)から、
ある不動産鑑定士への『懲戒処分』が発表されました。
内容は、現在も契約が続いている地代(継続地代)の評価において、
あろうことか『新規地代』としての鑑定評価額を出したというものです。
専門的なお話になりますが、この二つは鑑定評価の根本から異なります。
適用すべき計算のルール(手法)が全く違うのです。
その結果、出された評価額は現行地代の3倍近い額。
しかも、その数字を裏付ける合理的な根拠も示されていませんでした。
もし、この間違った評価額がそのまま通ってしまったら……。
借りている方は、根拠のない法外な値上げを押し付けられることになります。
私たちは単に依頼者様の味方をするということではありません。
『正しいルール(鑑定評価基準)に基づいた、適正な数字』という基準を持って、
不当な要求や誤った判断から皆さまを守り抜くこと。
プロの過ちを教訓に、私は改めて、
一字一句、一円単位まで誠実に向き合う決意を新たにしました。

実は、あかね不動産鑑定でも先日、似たようなご相談がありました。
大家さんから突然、現行家賃の『2.3倍』という一方的な値上げ通知が届き、
どうすればいいか途方に暮れていらっしゃったケースです。
先ほどの懲戒事例のように、世の中には合理的な根拠を欠いた、
あまりに極端な数字が提示されることが少なくありません。
賃料の改定には、長年積み重ねてきた契約の歴史や、物価の変動など、
目に見えない多くの要素が関わっています。
それを無視した数字に、お一人で立ち向かうのはとても勇気がいることです。
もし、納得のいかない通知や数字に直面したときは、
どうかお一人で抱え込まないでください。
まずは、今の不安をお聞かせいただくことから始めてみませんか?
信頼できるデータを集めて、正しい知識と公正な数字を拠りどころに、
一緒に、納得できる『安心の着地点』を探していきましょう。

