実績にも書きましたが、新規賃料と継続賃料は扱いが異なります。
まず、賃料には土地を借りて発生する「地代」と
建物を借りて払う「家賃」とがあります。

建物は土地の上に建っているので、家賃の場合でも実際は
土地も借りていることになります。
この投稿では「地代」と「家賃」を含めて、賃料と表現しますね。
何が違う?
新規賃料は、文字通り新しく契約を結ぶ場合です。
賃貸借の多くの場合は、契約書が存在します。
そこにいつからいつまでの契約だとか、修繕費用は誰が負担するだとか
退去する時には原状回復が必要だとかが書いてあります。
当然、支払い賃料の額や更新料などの記載もあります。
この月額(または年額)賃料は、貸主さんと借主さんで合意して
賃貸借契約が結ばれた金額です。
継続賃料には、現在進行中の賃貸借契約書があります。
物価が急上昇しているからとか、固定資産税が高くなったとか
周辺の新規家賃が上がっているという理由で
契約時の賃料を大幅に改定することは難しいです。
もちろん、根拠が正当であれば、お互い痛み分けという場面もあるでしょう。

こんなケースも
私たち不動産鑑定士は、事務所所在地の不動産鑑定士協会と
全国を統括する「日本不動産鑑定士協会連合会」(以下、「連合会」)に所属しています。
連合会から、先月懲戒処分の発表がありました。
現在も続いている契約について、地代の鑑定評価依頼があったが
継続地代ではなく、新規地代で鑑定評価額を出したというものです。
専門的な話をすると、新規賃料と継続賃料は、鑑定評価額を出す際に
適用する手法(計算方法)も違います。
懲戒処分の対象となった案件では、鑑定評価額が現行地代の3倍近い額で
採用したデータの合理的な根拠もありませんでした。

あかね不動産鑑定の代表が関わったケースでも、
現行家賃の2.3倍に改定するという大家さんからの一方的な通知に
困ってしまったという案件がありました。
このような場合は、お一人で抱え込まないで
専門家に相談することをお勧めします。